ちゃんと定時に帰る方法

どこのチームや組織でも、「定時退社日」を設けることは多いと思う。残業が定常化している業界ならではの取り組みだが、ぼくの個人的な経験からいくと、この取り組みが続くことはめったにない。*1
何故だろうか?
そもそも一括契約の場合、リーダー(や営業)が見積をはずしてしまった時点で残業確定コースに突入だ。メンバーの立場からすると辛いところ。ついつい、愚痴もこぼしたくなり、モチベーションも下がる。そして、こんな状況に対する対処療法として「定時退社日」が導入される。が、結局は定時に帰っても、ついつい、残業をしてしまうことになる。ぼくも良く経験があることだ。「結局自分の仕事量は減らないしなぁ」なんていう愚痴を良くこぼしたもん。
でも、やっぱり本当はこんなんじゃだめで、ちゃんと定時に帰れる仕事がこなせるチームにならないといけない。じゃあ、どうすれば良いのか?今回はメンバーの立場に立って考えてみよう。
自分のプライベートも含めて、計画とプライオリティの意識を持つことから始めよう。どうしても参加したい勉強会や飲み会もあるだろうから、まずはそのターゲットを決め、それに向けて日々のタスクの割り振りや、残業時間を設定しよう。そして、大事なのはその予定をリーダーにあらかじめ伝えることだ。普段からリーダーと信頼関係がちゃんと結ばれていれば、リーダーはあなたの計画をプロジェクトの計画に反映してくれるはずだ。
もう一つ、作業の見積精度を高める努力をしよう。大きなタスクは分割しよう。あいまいな指示を出された場合は、目的を問い詰めよう。作業ベースではなく、成果物ベースでリーダーと話しをしよう。こうすることによって、タスクは小さくなり、あいまいな指示から、本当の目的を切り出すことができ、無駄な時間を削り、より現実的な見積ができるはずだ。
なんでもかんでも、リーダーに細かい指示を求めるのもかえって良くない。特に現場リーダーの場合は、自分が作業を行うイメージで話をしがちなので、あなたの力量では時間がかかる指示を出してしまうかもしれない。まずは、あなたの力量で最小限度の満足度を引き出す提案をする努力をしてみよう。リーダーは、チームトータルで成果を考える。今のあなたで足りない部分は、他の誰かの力を使って達成してくれる。
そう、つまりは主体性を発揮すること。指示待ちではなく、自分から提案すること。最初は拙くても良いから、自分の考えをリーダーに伝えること。そしてもちろん努力し結果を出すこと。そうして培われた信頼感が、結局は自分のための時間(=定時帰りの日)を、作り出してくれるのだ。

*1:ちなみにミーム学的に考察すると、「定時退社日」が無効化してしまうのは、「競合するミームに負けてしまう」という解釈になる。ぼくは「定時退社日」に競合するのは「業務優先」というミームだと思う。業務優先ミームは非常に強力だ。日本の会社組織という環境、というか国民性に非常にマッチする。そして困ったことに、業務優先というミームを弱らせるのは、いかにリーダー・プロマネといえども抵抗があるのだ。だって、それは悪いことじゃない。胸に手を当ててふりかえると、メンバーが業務を優先して難しい仕事を片付けてくれたときって、実は嬉しいよね。
そして実は、業務優先ミームが広まりやすいのにはもう一つ理由があってそれは応用範囲が広いからだ。例えば、(あまり重要じゃない)会議とか、「業務優先で」って言えば、参加しなくてすんじゃったりするし。このあたりがごっちゃになって強力になっている。