組込みとアジャイルとか

永和システムマネジメントはアジャイル開発を得意としており、組込み業務に携わるエンジニアにもアジャイル経験者はいます。しかし、特に自動車業界における量産開発と呼ばれるフェーズでは、V字モデルのウォーターフォールが鉄板であり、これまでのところアジャイルの出る幕はありませんでした。

とはいえ、試作や先行と呼ばれるフェーズにおいては、プロトタイプ開発において繰り返し型の開発手法がとられることもあります。テストの自動化などのプラクティスも盛んに採用されていますし、現場には「もっと楽して良いものを作れるプロセスを」と旺盛な改善意欲を持っているエンジニアの方もおられます。徐々にじわじわとアジャイルな手法も求められていくでしょう。なので、今後ますます私たちの価値が問われるだろうし、それはチャンスだと思ってます。

ちなみに、昨年一番アジャイル系の手法で印象に残ったのは、スクウェア・エニックスのプロジェクトマネジメント手法です。「最初に計画と戦略を立てる・繰り返し型で開発する・リリースタイミングは少ない」、と外観はまさに、Water-Scrum-Fallなのですが、(おそらく)売り切り型のゲーム開発プロジェクトの制御という問題領域での試行錯誤の末生まれた実践知であり、ドメインは違えど、組込みも含めたある程度の規模のシステム開発プロジェクトにも参考になるでしょう。(ソーシャルゲームを開発・運用して利益を上げるための手法はまた違う、はず)

ただ、事例はあくまで事例なので、「これ良さそうだからやってみたら」と、メンバーにそのままやらすようなことはしません。新しい手法を根付かせるには、「流行っているからやってみよう」というトップダウンでは足りず、現場が抱える固有の問題に対する解への切望、ぐらいの熱をはらんだボトムアップが必要であり、そのようなモチベーションを持ったチームを育てていくのが私のでっかい課題です。