受託開発ビジネスをスクラムで回す

スクラムは要は改善フレームワークであり適用範囲が広く、それを学びプロジェクトで実践するうちに、ソフトウェアの開発だけでなく、部署や会社などの組織的活動にも適用したくなるかと思います。

もちろん、私もその一人で、今日は自分の取り組んでいる活動をご紹介させてします。

活動をサービスとして考える

私は、アジャイルスタジオ福井(ASF)のディレクターという肩書ですが、やっていることはプロダクトオーナー(PO)だと自覚しています。スタジオを立ち上げるまでには、次のようなことをやってきました。

  • 名前を決めた(構想段階では「福井アジャイル開発センター」と呼ばれていました)
  • 部屋のコンセプトを決めた(「和洋折衷」をコンセプトとした部屋)
  • サービスのビジョンやコアバリューを決めた
  • 顧客(ターゲット)を想定し、サービスの具体内容(リモートでのアジャイルクラウド開発)を決めた
  • 「ディレクター」という呼び名を決めた(「スタジオ」だから「ディレクター」だよね、という安直さなんですけども)

要は「アジャイルスタジオでの開発サービス」のPOとして、「なぜと何」に注力しているわけです。逆に、働きやすさに直結する机やいすやモニターなどを選ぶことはメンバーの仕事ですし、ビジョンやサービス内容をまとめたパンフレットやランディングページの実装も、それが得意なメンバーや外部の業者さんに任せます。

会社と事業部をステークホルダーとして考える

実は、アジャイルスタジオ福井は組織ではなく、そこに「配属される」ものではありません。シンプルに、「リモートアジャイル開発の作業場所がASFである」にすぎず、私にメンバーを選ぶ権限はありません。メンバーはほぼ全員がITサービス事業部に所属していて、それゆえ、ASFでのビジネスの売り上げも経費もITサービス事業部※につきます。

※ちなみに、私もITサービス事業部の一員であり、ASF立ち上げのタイミングでエンジニア職にシフトしています。それまでは部長という肩書の管理職でした。ASFのPOという役割がこなせているのは、諸々の管理業務が減ったことも大きいです。

このように、ASFは「ITサービス事業部の事業」という位置づけなのですが、根本には、「ビジネスを加速するソフトウェアづくりを、お客様と一緒にアジャイルチームを作ってやりたい。福井でやりたい。」という全社(社長)ミッションがあります。

anagileway.com

さらには、「福井でのリモートアジャイル開発」というモデルを浸透させることによって、当社で働きたいというエンジニアを増やすという狙いもあるので、POとしては「働きやすさの実現とアピール」も優先度の高いバックログアイテムになっているのです※。

※ すでに満杯になっているのですが、2月24日に

esminc.doorkeeper.jp

をASFで開催します。

活動はスプリントで改善

アジャイルスタジオ福井という部屋」のキャパは16名で、ありがたいことに現時点ではすべて埋まっている状況です。ただし、アジャイル開発に対応できるチームはASF以外にももちろんあり、「リモートアジャイル開発サービスとしてのASF」をもっと広めるためにマーケティング活動をスクラムチームで継続中で、これが今一番力を入れている活動ですね。

このチームのメンバーは、私とマーケティング・営業担当と社長で、私はPOとして重要なステークホルダーである社長の思いをくみ取りつつ、スプリントゴールや優先度を決めています。

スプリントは1週間で、デジタルなカンバンツールを利用しながら、イベントやプロモーションといったタスクにサインアップし、集まって成果をレビューし改善し、というスクラムチームの動きです。

あと、チームの営業担当に、私から直接指示も評価もできないのがミソでだと思っています。彼も私と同じITサービス事業部なのですが、私はあくまでPOでありエンジニアであり、彼の上司ではないのです。彼の個人ミッションや目標は上司である事業部長から与えられていて、それをどう実現するかは彼のマターであり、私は優先度を与えたりアドバイスすることはあれ、直接的に指示することはありません。

いろんな仕事を組み合わせて相乗効果を出す

他にも、見学への対応や外部発信、採用への協力や事業部所属のエンジニアとしての役割などASFのPO役以外の仕事もありますが、今のところ良い相乗効果が出ていると考えています。これらについても紹介したいところなのですが、、長くなってきたのでまたの機会に。