AJAXとの付き合い方

確かにAJAXは技術者(特にプログラマ)としては面白いと思う。ぼくも含めてずっと前からWebをやってる人達にとっては、自前でFRAMEなどを使って実現してきた機能(というよりはブラウザを使った非同期通信という仕組み)がやっと大手を振って使えるようになったという感覚なんだろうな。

でも、中島さんも次のように書かれている通り、AJAXという技術自体はビジネス面から(特にSIというビジネス領域において)「コミットする」という意味あいのスケールではないと感じる。ユーザーの視点で考えてもAJAXでぼくたちの住む世界が大きく変わるとも思えないし、開発者の視点に立ったとしても、「これからはAJAXだけで食っていける!」という勘違いすら起こせない。

社会心理学では、そんな心理状態を「多元的無知」と呼ぶが、そんな時に遠慮せずに、自身を持って「AJAXって本当に必要なの?」と問いかける姿勢はとても大切である。

 ちなみに、上の質問に対する私の答えは「たぶん無いでしょう。アマゾンがAJAX化しないのは理由があると思います。AJAX化したとしても売り上げが上がるとは私には思えません」である。

http://blog.japan.cnet.com/nakajima/archives/002943.html

また、このように「速くて、軽い」技術をプロジェクトに適用する場合は、取り入れ方のバランスが肝要だと感じる。つまり単純には、既存の技術で書いたコードの量と、新しい技術で書いたコードの量だ。AJAXの場合は、JavaScriptのコード量がかなり増大することになるが、それがプロジェクトの性質、特にメンバーのスキルやマインドセットとマッチするかどうかを判断材料にすべきだと思う。誰も彼もが最新技術LOVEな人ではないが、かといっていつまでも古い技術にしがみつくのも問題だ。
理想的には、新しい技術を適用するプロジェクトでは、重要な(その技術がないと実現できない)ユースケース(や画面)でのみ採用すると良いと思う。業務系のWebアプリの場合、1画面くらいはお客さまのこだわりの強い「キラー画面」があるもので、そのような機能にのみ集中してAJAXを適用することで、お客さま価値(この場合は使い勝手)の向上を実現する。そして、次に適用するプロジェクトでは、前回プロジェクトの評価を踏まえながら新技術を全面的に採用し、生産性の向上を図る。このような順序を踏まえればバランスが良く、失敗することは少ないと思う。