『アジャイルプラクティス』のレビュー
同僚の角谷さんと木下さんが監訳した『アジャイルプラクティス』を読みました。献本感謝します。結論から言うと、ソフトウエア開発の現場に携わる全ての人にお勧めできますね。必読の書。
アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣
- 作者: Venkat Subramaniam,Andy Hunt,木下史彦,角谷信太郎
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/12/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これはプロフェッショナルの習慣です
「非難してもバグは直りません」「技術の変化についていきましょう」「顧客に決断してもらうのです」など、45のプラクティスを示すことによって、ソフトウエア開発のプロフェショナルとはいかなるものかを、知らしめてくれる本。
本書でのアジャイルとは、
開発がアジャイルであるということは、協調性を重んじる環境で、フィードバックに基づいた調整を行い続けることである
ということであり、必ずしもXPなどアジャイルな開発プロセスを採用することではありません。つまり、アジャイルでない開発プロセスを採用していたとしても、協調性がありフィードバックを得ることができるチーム環境を作り上げることができれば、プロジェクトを成功に近づけることができます。これは僭越ながら私の経験に基づく実感と一致しています。私のチームはXPのプラクティスを実践していませんが、協調性と調整を重視しているという意味においてアジャイルであり、成果を出しています。
私が気に入ったプラクティス
まずプロとしての規律を含んだ、
- 成果をあげるのが仕事
- 人でなくアイディアを批判する
- 機雷がなんだ!全速前進!
- 技術の採用根拠を明確にする
- いつでもリリースできるようにしておく
- ありのままの進捗を計測する
- 意図を明確に表現するコードを書く
は、最低限押させておきたいプラクティス。
そして、受託開発でも重要なお客さまとのかかわりについて、
- 顧客に決断してもらう
- 頻繁なデモでフィードバックを得る
- ユーザーの声に耳を傾ける
- 役に立つエラーメッセージを提供する
は、重要なプラクティス。
他にも「わかるまで質問する」「設計は指針であって指図ではない」「応急処置は泥沼を招く」「定常的に顔を合わせる」「答えを見つけられるように力を貸す」なども気に入りました。って、ほとんどですね。
私ができていないプラクティス
45のチェックリストのように読むこともできます。私は次の二つは実施できていません。
- コードをレビューする
コードレビューの重要性は感じつつ、なんだかんだでできてないです。テストの結果を分析すると、レビューで発見できるバグはあるんですが。。これからはコードレビューも意識することにします。
- 定額契約は守れない約束
これは受託開発者としては永遠のテーマ。お客さまを巻き込んで新しい契約スキーム作りを考えていく必要があります。