受託にも必要なイノベーション

以前私は、受託からはイノベーションは生まれないしその必要もない、と言っていました。

おっしゃるとおり、受託からイノベーションは生まれません。受託はイノベーションを目的として行うものではありませんし、イノベーションが必要条件でもありません。

今でも受託からイノベーションは生まれ難いとは思いますが、受託をするにしてもイノベーションが必要なことは最近わかってきました。ただし、ここでの「イノベーション」とは技術的革新という意味よりは組織の変革であり、仕事に対する取り組みや考え方を変えることです。

ビジネスとしては同じ受託だとしても、今までとは違う顧客セグメントや技術に取り組む、それだけのことでも組織にはイノベーションが必要となります。具体的には、営業のやり方、メンバーに対する意識付け、案件を受注する/しないの判断基準、教育予算の振り分け方までも変えていく必要があるのです。

この違いはやってみるまで実感できません。少なくとも私はそうでした。

実は、この春から私の所属するグループを中心に組込み系の開発ビジネスを始めました。私たちはもともとオブジェクト指向技術やアジャイル手法など、ICTを由来とする技術を強みにしてきましたが、これらの技術を組込み分野に持ち込み、よりよい開発をお手伝いすることをビジョンに掲げています。まずは組込みLinuxAndroid、自動車業界の次世代標準AUTOSARといった技術に対する知見を売りとした開発受託ビジネスからスタートします。詳しくは、永和システムマネジメント組込みグループのサイトをごらんください。組込みグループメンバーのブログや執筆などのコンテンツもありますよ。
http://et.esm.co.jp/site/index.html

ここ数カ月、ビジョンやコンセプト作り、Webサイトの立ち上げに営業訪問といった活動をメンバーと共に行ってきました。正直、戸惑いや不安も多かったのですが、メンバーや会社の支援もあり、なんとか離陸に向けて機首が少し上向いたかな、といった感触です。
しばらくは受託を中心に「お客様のイノベーション」をサポートしていきたい。そのような気持ちにあふれています。何とぞ、よろしくお願いします。