今年も Agile Japan に参加しました。10回目の今回はなんと800名もの方が参加されたということで、確かに、会場の熱気というかぎゅうぎゅう感がとても良い雰囲気でした。実行委員を始めスタッフの皆さん、お疲れさまでした。いつもありがとうございます。
実は私、第1回の Agile Japan で実行委員としてクロージングセッションを担当させていただきました。あれから10年、私も、私の主なフィールドである受託開発もずいぶん変わりました。
10年まえのブログを読み返してみたのですが、「私は今まで、実は自分はアジャイルな人ではないと思っていた」とのフレーズがありました。確かに当時は計画駆動型の開発にアジャイルなチームビルディングを持ち込むことに力を入れてます。
そんな私も、今では開発の在り方についてごく自然にアジャイルに考えていますし、業務でも、主にSOEやDXと呼ばれる分野向けに Agile Studio Fukui にてリモートアジャイル開発サービスをやってます。ゆっくりなようで10年あればずいぶん変わりますね。
本題に戻ります。今回の基調講演はGROOVE X の林さんによる「マネージャー不在の洞窟型組織」でした。最高にかわいくて賢い家族型ロボット「LOVOT」の開発と組織マネジメントを通じて、価値創造はアジャイル開発に帰着したことを「アジャイルに必要な航海能力は見通しの悪いところで踏みとどまる能力。それをサポートしてくれるフレームワークがScrumだと考えている」という言い回しで表現されていました。
あと、「フラット組織で失敗しているベンチャーが多すぎて、出資者はフラット組織に懐疑的。なのでウォーターフォール的に出資者には計画や見通しを(変換して)説明する」という現実的なお話も。
他に印象に残ったのは、クリエイティブに製品開発を行うためにフラットな組織作りをするにあたって、
- (スコープが良く変わるような)新しい製品づくりだと組織の壁がそのまま製品の壁になるように思える
- 仲良しフラット組織だろが階層が多かろうが、船頭が多すぎるのはだめ
- フラット型組織だと、262法則の下位2割が減る。上位の2割と中間6割の区別がなくなっていく。そして(カオスなのに)活気がある
- 「飽きる」をポジティブにとらえる。学びが素早い人は飽きっぽい人が多いので、飽きだした人を組織に縛らない
- 自由を愛していたと思ってジョインしても、いざマネージャがいないチームに入ると戸惑いを感じるもの。数か月後、水が合わないなと実感した人は辞めていくこともある
のこと。実際にビジネスと開発の垣根のない組織で内製で価値創造にトライされている方の言葉は迫力があり、受託開発を生業とする立場としての率直な感想は「俺の出る幕でないな」。
もちろん、特定の領域ではベンダーの技術やサービスを利用されることもあるでしょうが、ますますそれは、非競争領域でコモディティな分野になり、それはそれで、お仕事としてはありなんでしょうが、エンジニアリングを売り物とする受託開発会社やSIerとしてはいかがなものか?
あるいは、アジャイル時代だろうが今後も残る一括請負のSORメインで品質の高さに鎬を削るのか?
事業会社ではなく受託開発の会社でエンジニアリングに誇りをもって仕事を続けられるのはどのような形なのか?
アジャイル開発が日本に紹介されて15年ぐらいでしょうか。アジャイルな開発(自己組織化されたチーム主導によるビジネスも開発も隔てのないやり方)が今後当たり前になり、やがてアジャイルという言葉も使わなくなった時代が来るとき、受託開発という仕事はどうなっているのか、受託開発屋の一員として、それを想像し、その世界でのありたい姿のビジョンを持ち、それに向けて歩みを進めましょう。