アナログ、デジタル、AIの順 ~ 2025年をふりかえりながら

岡島です。

2025年は本格的に生成AIを仕事に活用した一年でした。本業・副業のありとあらゆる業務で、何かしら書いたり調べものをする必要があるときは、必ずAIを使っています。スライド生成のクオリティも上がっているので、ほとんどそのまま使う機会も増えてきました。あ、もちろん、元ネタは自分で考えたうえで、AIを使って補ったり、新しいインサイトを得たり、アウトプットとして仕上げるための利用です。ちなみに、会社で標準となっているので Gemini や Notebook LM を使うことが多いのですが、Claude Code や ChatGPT も時と場合によって使い分けています。

「なんでもAI」する前にやることがある

これだけ自身の効率化を実感すると、他の人に対しても、「AIに聞いてみたら?」とか「AIに任せればいいでしょ」って言ってしまう自分があるのですが、一方、「本当にその人のためになるのだろうか」という気持ちにもなっています。

これはAIに限らず、(デジタルな)ツールやサービスでも同じことで、「便利な道具があるから、これで頑張って仕事を効率化しなさい」というアプローチの限界というか、向き不向きがあるよな、と。

そういう思いもあり、今年度の福井県高浜町のDX支援では、あえてアナログな手法を取り入れました。具体的にはBPMNのワークショップです。BPMNは国も採用している標準であり、基礎自治体でも例のシステム標準化を通じて関わる人もありますが、今回は「あなたの業務の引き継ぎを楽にするためにBPMNを使ってみよう」という身近なテーマ設定としました。まずは自身にとってメリットのあるものでないと使ってみよう、覚えようという気持ちにならないからです。

ワークショップは2回実施したのですが、11月に実施した初回では、パソコンは使わず、付箋紙と模造紙だけを使いグループで模擬業務(カフェ)をモデリングしてもらいました。模造紙をプールに見立て、ペンでレーンを引いて、タスクは付箋紙として張り出し、フローもペンで直接書いてもらいます。

アナログなワークショップの様子

そうすることで、記法の細部にとらわれすぎずに、頭の中では理解しているつもりの業務を、決められたルールで可視化することの意味や難しさを理解してもらうのです。具体的にやったことは以下の通りです。最後に、一番可視化してみたい業務をそれぞれ決めてもらいました。

第1回:基礎編 ~アナログツールで思考をカタチにする~

項目 詳細
形式 オンサイト(集合研修)
日程・時間 11月27日 13時30分~ 約3時間(180分)
目標 - 自身の担当業務を可視化できるようになる第一歩として、BPMNの基本を理解し、業務プロセス図の骨子を描けるようになること。
- 様々な部署の人との対話を通じて、自身の業務の課題を発見するきっかけを得ること。
時間(目安) 内容 詳細
15分 1. はじめに 目的・目標の共有、アイスブレイク、業務可視化の重要性(属人化防止、引継ぎ効率化)について解説します。
10分 2. 講義:業務プロセスの可視化 業務プロセスとは何か、なぜ可視化するのか、そのメリットを学びます。
45分 3. 講義:BPMNの基本 自治体業務に適した国際標準記法「BPMN」の基本要素(役割、作業、開始/終了、分岐など)を解説します。
60分 4.【演習①】可視化に慣れよう 「カフェ」などの誰にとっても身近な仕事をお題に、付箋紙などアナログな道具を使って、グループでBPMNのルールに沿った業務プロセス図を作成し、記法に慣れます。
10分 休憩
20分 5.可視化したい自身の業務とは ご自身の担当業務のうち、実際に可視化できそう・してみたい業務をリストアップし、グループ内で共有し意見交換(それはなぜ?など)します。
15分 6. 発表と気づきの共有 各グループで研修での気づきや感想などを話し、その後全体で共有します。
5分 7. まとめと次回への接続 本日の学びを振り返り、次回(デジタル化編)への準備と流れを説明します。

デジタル化することで共有しやすくする

12月に実施した2回目で、初めてデジタル化(Visio)にトライしてもらいました。ワークショップでは、開始から終了までの分岐や役割分担を、BPMNのルールに従って作成していきました 。そして、作成した図をグループ内で相互にレビューし、「業務を知らない人でも理解できるか」を確認し合いました 。自分以外の誰が見ても、誤解なく伝わる正確な図にするためです 。自己流の図形や矢印では、他部署の人や、将来の後任者には伝わらないことを実感してもらえたかと思います。

第2回:デジタル化編 ~ツールを使いこなし、正確に描く~

項目 詳細
形式 オンサイト
日程・時間 12月11日 13時30分~約3時間(180分)
目標 - BPMNツール(Visio)の基本操作を習得する。- 第1回でリストアップした業務を、BPMNのルールに沿って、誤解なく伝わる正確な図としてデジタル化する。- 作成した図を他の職員と共有し、客観的な視点でレビュー(相互確認)するスキルを身につける。
時間(目安) 内容 詳細
15分 1. はじめに 第1回の振り返りと、本日のゴール(正確なデジタル化)を設定します。
15分 2. 講義:BPMNツール入門 BPMNツールの紹介と、基本操作(描画、接続、テキスト入力)をデモを交えて解説します。
20分 3. 講義:BPMN応用ルール 「正しく」描くための詳細ルール(イベントや分岐の使い分け、例外処理の表現など)を学び、表現の幅を広げます。
80分 4.【演習①】業務プロセスのデジタル化 第1回でリストアップしたご自身の業務を、BPMNツールと応用ルールを使いながら実際に書いていきます。
10分 休憩
30分 5.【演習②】ピアレビュー(相互確認) 作成した図をグループ内で共有し、「ルールは正しいか」「業務を知らない人でも理解できるか」を相互に確認し合います。
10分 6. まとめ 質疑応答と成果を共有します。

AIの使いどころはこれから

計6時間と限られた時間ではありましたが、参加してくれた方の書かれたフローを見ると、想定以上に理解度が高く、アナログ⇒デジタル順のワークショップの効果はあったように思えます。

2026年には3回目以降を実施する予定で、まずは2025年の成果であるVisioで書き下したフローを、引き継ぎ書(業務手順書)として実用化する。次に、さらなる業務効率化に向けたTo Beモデルを作成してもらい、そのモデルを元に実際の効率化まで達成できたらな、と考えています。

そして、この段階までくれば、AIの使いどころが出てきます。業務フロー画像をAIに渡してBPMNのレビューをしてもらったり(Gemini Proで試す限り、びっくりするくらい精度高くレビューしてくれる)、無駄な手順を教えてもらったり、一緒に検討したりと、多忙な職員の方にとって本当に役立つAIの使い方になるでしょう。今年度はアナログからデジタルの流れに手ごたえを感じた1年だったので、来年はAI活用までつなげていきたいですね。

2026年も続けたいこと

自治体のDX支援だけでなく、今年も「ふくいGirls未来のテックリーダー」プロジェクトに参画しました。今回は50人以上の生徒に参加してもらい、これで3年で100人以上の若者の未来に何かしらの(きっと良い)影響を与えられた、ということになります。メンターとして参加してくれた社員の主体性も年々アップしているのがとても嬉しく、可能な限りこのプロジェクトへの貢献は続けようと決意を新たにしているところです

本業では、アジャイルのさらなる普及と発展のため、Agile Studio としていろんなイベントのスポンサー活動を継続させてもらいました。その中では、久々に 個人として、 Agile Japan の実行委員をやらせてもらったことが印象に残っています。 www.agile-studio.jp

2026年一発目は、1月7日から始まるRSGT2026なのですが、新しいイベントにも参加してみたいと考えていて、そこでまた、いろんな方にお会いできること、楽しみにしております。

それでは本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。