システム開発現場のファシリテーション

面白いファシリテーションの本を紹介します。

システム開発現場のファシリテーション ~メンバーを活かす最強のチームづくり~

システム開発現場のファシリテーション ~メンバーを活かす最強のチームづくり~

最近、「ファシリテーション」や「プロジェクトファシリテーション」という言葉を当たり前のように耳にしますが、この本の特徴は「同じ価値観に対する、複数の異なる切り口からのアプローチ」にあります。プロのコーチ、コンサルタント、エンジニアそれぞれの視点から、チームを活かす手段としてのファシリテーションについて、経験をふまえて平易に説明してくれます。
以降はメモも兼ねて、気になったキーワードについて語ります。

混沌と混乱

第2章では、ファシリテーションのプロセスを次のように説明しています。

  1. 共有
  2. 発散
  3. 混沌
  4. 収束
  5. 展開

また、第1章にはチームの発展は「形成期」「混乱期」「規範作り」を得てようやく「機能を開始する」という説明もあります。
ここでの「混沌」や「混乱」に共感しました。感情を発露するのもコミュニケーションには重要でで、チームにはどう格好つけても泥臭い人間関係と、そこから生じるコンフリクトがあります。そこを避けるのではなく、「良いチームには必要なものである」という考え方はリーダーだけでなく、メンバーも理解する必要があると感じます。

リズム

プロジェクトファシリテーションではリズムの重要性が強調されており、本書でも短いイテレーションによる一定感覚のリズムが推奨されています。

とはいえ、大きなマイルストーンだけでは、移行条件の感覚が長く、長さにもばらつきがあるので、いまいちリズムを合わせるのが難しく、一体感が生まれにくくなります。音楽でいうと、一小節の幅は一定感覚を持ちます。同じように、プロジェクトチームでも一定感覚のリズムを作ったほうが、より効果を発揮します。

私は、この「一定の短い間隔のリズム」を作り出すことができていません。イテレーションが長めになることが多いため、リズムが緩慢になっている気がしています。イテレーションとは別にリズムを刻む必要があるなと改めて認識しました。

ファシグラ

ファシリテーショングラフィック、略してファシグラは「議論の見える化技法」であり、要は絵と字を使って、議論を表現する技術です。
特にリーダーになっていろいろな会議に参加したり、あるいはファシリテートする機会が増えると、ホワイトボードの前にたって議論をまとめる必要が出てきますが、これって意外と難しいのです。
もちろん内容が理解できていないと話になりませんが、整理する技法を知らないから自信が持てないという理由も大きいでしょう。私はマインドマップを良く使いますが、それ以外にも表現方法はたくさんありますね。参考になりました。

北風と太陽

私はリーダーシップにも「強弱」の使い分けが必要だと思ってます。ぐいぐい引っ張る強いリーダーシップも大事ですし、やんわりと後押しする弱いリーダーシップも身につけないといけません。本書でいう「太陽」「北風」がそれぞれ「弱い」「強い」に相当するわけではありませんが、私も結構このようなメタファや類型化は好きなので、印象に残りました。