アジャイルって何? ~ Agile Japan 2021 北陸サテライトであらためて学んだこと

おかかアジャイルって何?」

子供時代からのあだ名で私を呼ぶような古い友人に、このような質問をされることがあります。Facebookでやたら、アジャイルアジャイルだと書いているからなんでしょうね。

そのたびに私は、できるだけわかりやすいように、例えを駆使して、何度か説明を試みてきました。

  • 家を建てるときに設計士がまず全体の図面引いて、そのあと大工さんが建てるのが普通でしょ。でも、そうでなくて、顧客の欲しい部屋から設計と施工をスピーディーに繰り返していくイメージなのよ

「うーん。わかるようでわからない。」

  • みんなスマホでアプリ使ってるでしょ?最近のアプリって、最初は必要最小限の機能があって、どんどん要望や流行りに合わせて機能が追加されるでしょ?そうすることで、ビジネスを無駄なく回せると思わない?アジャイルは今のビジネス環境に合わせて出てきた手法なんだよ

「うーん。少しはわかったような。」

まあ、こんな感じになります。

ソフトウェア開発から生まれたアジャイル手法や、その後、それをビジネスや経営に拡大適用している「アジャイル」の現在地点を、ひとまとめでわかりやすくソフトウェアやIT業界外の人に説明するのは難しいよなぁ。。

など考える日々の中、1月22日に開催された Agile Japan 2021 北陸サテライトに実行委員として参加してきました。

北陸サテライトで再度学んだアジャイルの本質

まずは、基調講演であるアリスター・コーバーン博士の録画再演をじっくり視聴しました。博士曰く、アジャイルの本質は「素早くかつ容易に行動し方向転換する力」なんだと。

アジャイルソフトウェア開発宣言はソフトウェア業界向けなので、他の職種の人たちがアジャイルを活用するときは、辞書的な定義・意味を理解してもらうことが大切だとのことです。

私も、"agile" を辞書で引いたことは何度かありますが、この定義が一番しっくりきました。これからは、「アジャイルって何?」という質問に、次のように回答することもできそうです。

  • アジャイルとは「素早くかつ容易に行動し方向転換する力」のことなんだけど昔の常識やしがらみに縛られた仕事のやり方では、その力を発揮するのが難しいことも多くて、それが今の時代にはマッチせず難儀してる企業が数多いのよ。でも、アジャイルの力を組織に注入したいと考える人も増えていて、僕はそれの手助けをする仕事をしているんだよ

これでもうまく伝わるか、まだわかりません。ただ、こうやって本質を考え続けるきっかけとなる人の集まり・イベントは本当に有意義なんだということを改めて感じます。

まとまりとメッセージのあるセッション

コーバーン博士以外のセッションも素敵でした。

北陸サテライト基調講演の北國銀行岩間さんには、銀行から地域総合企業への変革の道のりについて、生々しくお話いただきました。前日のアジャイル経営カンファレンスでもお話を伺っていたのですが、エンジニアが中心となる北陸サテライトの客層に合わせ、現場の声を入れてくださるなど、わかりやすく勇気がもらえる内容でした。

富山のクリエーションライン長田さんは、Scrumを取り入れてみて感じたことをストレートに伝えてくれるさわやかな事例でした。モブの良さと難しさ(言葉遣い問題)など、アジャイル開発を実践する人にとって共感度が高かったです。

石川のカラフルカンパニー渡辺さんは、テクニカルな内容も含んだ幅広いレンジで、自身の活動をふりかえりながら、まさに、悩みながらも、「素早くかつ容易に行動し方向転換する」している様を現在進行形で伝えてくださりました。

福井の永和システムマネジメント岡本さんは、ご自身のエンジニア人生をふりかえりながら「人脈・プレゼンス・経験」というコア資産の重要性と、リモート時代では地方在住でもそれが弱みにはならない点を強調されていました。特にコア資産の大切さについて、私も強く共感します。

富山、石川、福井それぞれの方に話してもらうことを重視し、内容についてはお任せだったのですが、結果的には、全体に統一感のあるイベントだったように思います。このあたりは、歴史ある Agile Japan のサテライトイベントとしての強みかもしれませんね。

アジャイルの体現者であり続けよう

今回は、ZoomとDiscordを使ったリモート開催でしたが、北陸以外の方も参加くださり、多い時で38人がZoomに接続していました。これはもちろん、既存のイベントに比べれば小さな集まりなのですが、私は、何かとても大きな力を感じました。

まず、Agile Japanやスクフェスをはじめ、これまで各地で開かれてきた(オンライン)カンファレンスにおけるノウハウは大きいです。これにより、地域を超えた集まりを、今後も続けていけそうだという自信を持てました。先人の積み上げた知見に本当に感謝です。

そしてもちろん、そこに集った人達の想いも。今は小さくても、参加者の会話が重なることで、次に繋げていきたい、繋げていくぞ、という熱を、ネットワーキングでの会話や、Twitterを通じて感じることができました。

最後になりますが、実行委員長をはじめスタッフの方々、登壇者、参加者の皆様、あらためて、ありがとうございました。これからも、それぞれの現場で、素早くかつ容易に行動し方向転換し、アジャイルの本質を体現していきましょう。